携帯のシャッター音が消えた後
「クラック」の95%を成立させているのはリテラシーの格差だ。それは全人類を二分する問題ではなく、完全なる階層構造である。
だからこそ、価格コムウイルス騒動に関して「あんなんパッチ提供済みのセキュリティホール使ってるんだから感染するヤツがダウソ」と言い切る時、自分が同じ事を言い切られていないかを一瞬考える癖を付けた方がいい。
だからこそ、啓蒙思想をもってネットの中における低リテラシー者にアドバイスを行い「クラック」という行為そのものを消すべきだと考えるならば、今すぐ部屋を出て街を歩き、すれ違う女に「携帯を向けられたらシャッター音がせずとも撮影されていると思え」と説いて廻ろう。
俺は、しないけど。
こういう物の捉え方をすることをもって、僕は自分がハッカー精神か厨房精神か(その両者の重なる部分だと思う)を今も持ち続けていると(勝手に)思っている訳だけど、シャッター音を消した携帯電話は、僕らが現実的に手に入れることのできる範囲内で最高の盗撮カメラとなる。カメラは見た目がカメラであるという時点で盗撮目的には使えないし、カメラ内蔵パソコンなどは(どんなにソフトウェアレベルで高度な事ができても)見た目がパソコンであるという時点で盗撮目的には使いにくい。君が女でスカートで、エスカレーターとかで真後ろの男がカメラをぶら下げていることに気付いたら、シャッター音がするしないとか、指が動く動かないとか、そういう問題と無関係に警戒心を抱くはず。君が本屋店主で、立ち読みをしている人間がバッグからノーパソを取り出したら、どんなソフトを起動するかとか、カメラの向きがどうだとか、そういう問題と無関係にハタキを持って近づくはず。「あ、メール来た」という顔をしながら撮影禁止な美術館で取り出しても特に気にされない携帯電話は、最高の盗撮カメラになり得るのだ。
携帯はパソコンに接近している。DoCoMoの携帯は902iで完全にLinux/Symbianベースとなった。それはソフトウェアによるハードウェア制御・ファイラーによるファイル操作が可能になったということで、「携帯のカメラは撮影時にシャッター音が鳴る」という、一昔前の「常識」が崩れつつあるということでもある。
例えば、ブラウザのブックマークを使えば偽サイトにアクセスさせられる危険性はない、といったような「常識」だ。
※参考:DNSポイゾニングを評価する
その「常識の破壊」は数日で一部の人間の「常識」となり、数週間でネット人の10%程の「常識」となり、数ヶ月でネット人の数十%の「常識」となり、そして、数年経って全国民の過半数の「常識」となる。
たとえば、Winnyウイルスの、ように、ね。
・・・と、「W-ZERO3[es]でシャッター音を消す方法」を調べながら思った。
現時点ではシャッター音を消せる携帯電話は少数だけど、いずれ全ての携帯はそこに向かっていく。そしてそれが「(君にとっての)常識」と化した後でも、君が家に帰った後の平日夜にPCで(略)(というか俺が今眠い)のを知られたくない、会社だか学校だかの隣の席の女にとっては、それは「常識」ではないのだ。・・・と、いうことで、多分数ヶ月か半年後には、一般月刊誌などで「最新携帯のシャッター音を消す」という特集を組めるはずなので、書かせてください!(ぇ)

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