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タグ管理は誰のための技術か

「ディレクトリ管理とタグ管理」というテーマで以下のような説明を読んだ記憶がある。

例えばブラウザのお気に入りはディレクトリ管理だが、多数の人間でお気に入りサイト/ページ情報を共有する場合、ディレクトリ管理ではある一つのサイト/ページが保存される場所がユーザーによって異なってしまう。しかしタグ管理ならある一つのサイト/ページに付加されるタグは多くの人間にとって同じであり、共有が容易なのである。

結果論としてはなかなかに機能する文章で、でもそれが結果論であることを理解していない人間は、「タグ」などというものを語るべきではない。



例えばMP3ファイルにはID3タグというものがあって、ファイル自体に、その音源のタイトル/アーティスト/アルバム名などの情報を埋め込むことが出来る。HDD内にMP3ファイルが散乱していても、ファイル名が様々な形式(時には「Track1.mp3」みたいに曲名すら分からないファイル名)であったとしても、ID3タグベースでジャンル > アーティスト > アルバム > トラックタイトルみたいな階層管理で楽曲を選択させよう。・・・と、いうのが「メディアプレイヤーライブラリ」という代物で、Winamp2.91↑、iTunes、foobar2000など現在では主要メディアプレイヤーソフトの大半が搭載している機能だ。

この考え方が何故秀逸か、別の言い方をすれば何故市民権を得たかと言えば、CD→MP3のエンコードを行うソフトが数あれど、従ってファイル名命名規則が数あれど、ID3タグに埋め込む情報の形式(例えば「アルバム名にはアルバム名を埋め込む」という)が統一されており、故に個人が様々なエンコーダーを乗り換えながら、或いは、他のユーザーと交換を繰り返しながらHDD内に無造作に溜めたMP3ファイルが、統一されたフォーマットに収まり、その統一されたフォーマットを使って直感的なファイル選択を行わせることを可能としているからだ。


OEにしてもThunderbirdにしてもBecky!にしても、既存のメーラーは受信メールをディレクトリ構造で管理している。例えば「メールマガジン」というフォルダの中に「ちゃんねるぼっくすメールマガジン」というフォルダがあって、差出人「dempa2ch@freeml.com」からのメールはそのフォルダに自動振り分けされる、といったように。

しかしメールマガジンの場合はそれで十分でも、個人からのメールになると「ディレクトリ構造」という管理方法は使い勝手に問題がある。だって、例えば大学の同級生でありサークル仲間でもある小学校時代からの友人から届いたバイト関連のメールは、何処に分類されればいいんだ?

ブラウザメールサービスGMailが秀逸なのは、「タグ(GMail用語としてはラベル)」によるメール管理を導入した点だ。「大学同級生」とか「バイト関連」みたいなタグを、それぞれのタグが自動付加される条件(振り分け条件)と共に前もって作成しておけば、受信したメールには自動的にタグが(時には複数)付加される(全ての条件と合致しないメールならタグは一個も付加されない)。そもそもにおいて人間関係をディレクトリ管理するには無理がある(例えば中学から大学まで一緒の友人を何処に分類するのか?)・・・故に僕は例えば携帯電話アドレス帳のグループ設定はタグに向かうべきだと思ったりする

※参考:携帯がタグに向かえばいいのに

・・・し、「差出人」以外の、例えば「件名」、例えば「添付ファイルの有無」といった要素をも考慮すればディレクトリ管理には完全なる限界があって、その限界を超えるための手段として「タグ」という新しい管理方法は秀逸だった。


メールヘッダは「From」「Subject」など統一されたフォーマットに収まる。その「統一されたフォーマット」に対する上位階層としてオートマチックに付加されるタギングが、GMailのメール管理のキモだ。単に「アドレス帳内の個人にその人からのメールがぶら下がる」というだけでは不便だし、届いたメール一通一通に手動でタグを割り当てる必要があるのでは面倒すぎる。

例えばそれはメディアライブラリ型のプレイヤーにおけるスマートプレイリスト(Winamp用語だと「SmartView」)なんかと同じ考え方で、「再生頻度の高いファイル」「最近追加されたファイル」「評価が☆5なファイル」「2005年リリースなファイル」「ジャンルがAlternativeなファイル」といった様々な条件で楽曲を探すことができることが、メディアライブラリ型のプレイヤーソフト最大の利点だろう。


ソーシャルブラウザFlockはお気に入りをタグ管理させる点が特徴的で、従ってお気に入りサイト/ページはディレクトリ構造を持たない。並列に、様々なタグが(時には一つも、時には複数)付加されたウェブページURL/タイトルが並ぶ。

で、ある特定のタグが付加されたページだけを抽出表示させることができるので、例えば「お気に入りサイトの中でニュースを扱うサイトを一覧表示」とか「2ちゃんねる関連サイトを一覧表示」とか「テクノ絡みのサイトを一覧表示」とかさせることが可能なのだ。


一方。

例えばディレクトリ構造でのお気に入り管理とは、右のようなやり方だ。フォルダ分けを行ってサイト/ページを登録していく。例えば特定のソフトについて調べ物をしている間は当該フォルダを開きっぱなしにして、見つけたページを次々登録していけば、上の画像で言うところの「AdBlock」というフォルダに様々な解説ページが追加されていくだろう。

で、Flockにおけるお気に入り追加方法とは右画像。登録するサイト(ウェブページ)に対して付加するタグを、「A,B,C,...」の要領でキーボード入力していく。ディレクトリ管理で言うところの「とりあえず特定フォルダを開いておいてサイト/ページを次々とそこに登録していく」という概念が存在しないので追加の度にグダグダとキーボードを叩く必要がある訳だ。


圧倒的に面倒なFlockのお気に入り追加方法を「(現時点でも十分)便利だ」と言う人間がいる。その理由は明確なのだが、その人間は「タグ」などというものを語るべきではない。


理由とは、Flockのお気に入り管理がソーシャル・ブックマークサービスdel.icio.us同期されていることだ。

※参考:ソーシャル・ブラウザへ

ブラウザ上でformを用いてウェブページをブックマークするdel.icio.usは、右のような二段階を経て登録作業を行わせている。

  1. ブラウザform上でウェブページのURLを入力し「save」をクリック
  2. 次のページでform上にdescription(必須)とtagsを入力し「save」をクリック

つまるところ、Flockでのお気に入り追加はdel.icio.usを通常のブラウザで使った場合のブックマーキングより楽で便利であり、故にFlockのお気に入り追加は「便利」なのだそうだ。


もちろん、Flockは今後のバージョンアップによって使い勝手を高めるだろう。例えば、ウェブページをお気に入りに追加する場合に、他のユーザーがそのページに対して付加しているタグがデフォで付加されれば手動登録の必要が無くなる。

例えばブラウザのお気に入りはディレクトリ管理だが、多数の人間でお気に入りサイト/ページ情報を共有する場合、ディレクトリ管理ではある一つのサイト/ページが保存される場所がユーザーによって異なってしまう。しかしタグ管理ならある一つのサイト/ページに付加されるタグは多くの人間にとって同じであり、共有が容易なのである。

そしてそれは、全ての人間がウェブページを「同じ」方式で管理するべきである、という意見、ディレクトリ管理に対する不満の一つとしてのファッショに他ならない。そう、例えばYahoo!ディレクトリ検索のディレクトリ構造と同じ構造で全てのユーザーがサイトを管理すれば、MP3ファイルのタギングと同じように全てのユーザーがサイトを管理すれば、「ブックマークの共有」はウェブページに関する(del.icio.usのような)タギングを求めない。では、果たして、「(del.icio.usのような)タギング」を求めたのは、誰なんだ?


「タグ管理」という概念が面白いのは、「ディレクトリ管理」という、一辺倒の管理方法に対して第二の選択肢を提示したからなのか、「ディレクトリ管理」というWeb1.0時代の発明品を過去の物としようとしているからなのか、どっちだい?

※参考:ユーザーのためのweb2.0講座


例えば、僕が既存のお気に入りに対して持っている不満とは、AdBlockについて書いてある、今月見つけて紙媒体で書くとき参考にしようと思っているTips記事を

  • オンラインソフト > インターネット > ブラウザ > Firefox > 拡張 > AdBlock
  • 時系列の気になるページクリップ > 2005年12月
  • 紙媒体用資料 > 2006年02月号

の三つのディレクトリに登録しなければならないことであり、テクノに関するニュースを載せるblogサイトを

  • ニュースサイト > 特定テーマニュース
  • カルチャー > 音楽 > テクノ

の二つのディレクトリに登録しなければならないことであって、それ以上ではない。

そして、君の場合は、どうだい?

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はじめまして。最近発見して面白いなぁと思いつつ読ませてもらってる者です。
検索方法としてディレクトリ検索とキーワード検索を対置するならば、キーワード検索とはタグ管理による検索方法とも考えられますよね。
(『ユーザーのためのweb2.0講座』の『□Web2.0』の項ではそのことを言ってるのかな)
即ちURLという"ユニークなID"に「切り刻まれた本文とタイトル」という巨大なタグがクロールロボットによって付けられている、と。
そうするとデスクトップサーチはタグ管理のローカルへの大規模な進出と見れますし、メールにタグ管理という手法を導入したのがGoogleであったというのも納得できます。
そういえばSNSも、その神話的な閉鎖性ゆえにユーザーにほぼ"ユニークなID"を付すことを可能にして、さらにマイミクシーだとかコミュニティだとかのタグを付けているようにも見えますね。
何かキリないですけどw 微長文失礼しました。

Scarlet Raven 2006/02/10 09:26:40

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