現時点におけるRSSとは何なのか
この文章は「RSSって言葉を聞いたことはあるんだけど結局導入していない」という人にRSSというモノの現時点における実体を解説するものです。故にRSSの本来の目的とかその設計思想とかは割と無視しています。それと最後の方で現在のRSSの実体を考えた上での提起とかをしてみます。
これは当たり前のことを難しげな言葉で語るだけですが、ウェブサイトというモノは形式的な定義であって性質的な定義ではありません。例えば「インターネットは新聞というメディアを滅ぼすのか」といった議論(がその昔ありましたが「新たなメディアが既存メディアを縮小させることはあっても滅ぼすことはない」という歴史的事実・・・例えばラジオは今でも存在する・・・がようやく浸透してきたように思えます)における「インターネット」「ウェブサイト」は具体的にはニュースサイトとかニュース系のメールマガジンやニュースサーバー等を指している訳で「全てのウェブサイト」を指している訳ではない。
このため、「自分がよく行くサイト」というのをリストアップする場合、その「よく行くサイト」は必ず「性質」によって分類可能です。下記は僕の意図的な分類ですが、例えばこのように。
- データベースとして有用なサイト
imdbやAllMusicのようなサイトも勿論そうですし、Googleのような検索エンジンも「ウェブページに関するデータベース」と言い換えることが出来るでしょう。別の言い方をすれば「更新」にはあまり意味が無く「自分の必要に応じてアクセスするサイト(もちろんデータベースとしての性能を維持するには更新は必要ですが更新とアクセスに関連がない)」。 - 連載テキストとして面白いサイト
いわばサイト自体が「一つの発刊物」の性質を持っており、日々その「連載」が継続していくタイプのサイト。例えば日記サイトなんかがその典型ですし、blogの大半もここに分類されるでしょう。別の言い方をすれば「更新されていたら必ず一度アクセスしたい」「更新されていなければアクセスする必要がない」サイト。 - 情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト
これが最初の例で使った「新聞を滅ぼす可能性のあるサイト」ですかね。新聞読者の大半は新聞の全ての記事を読む訳ではない。自分に必要な記事・興味のある記事を取捨選択する。そのためには当然網羅性が高くなくてはいけない。朝日や読売や毎日やCNNのウェブ版、ウェブ独自のメディアを挙げるならHotWired等。 - アーカイブとして興味深いサイト
上の言い方を引き継ぐならば、これは「本を滅ぼす可能性のあるサイト」でしょうか(最初に書いたように僕は滅ぼすとは思ってません)。学術系とかも勿論そうなんですが、例えば2chのまとめサイトなんかもこの部類でしょうね。かなり旬を逃しながら「まぁでもいまだに週刊誌レベルだと現役だし」ということで電車男のアレを例に挙げてみます。
さて、このように「ウェブサイト」と一言で言っても「どのようにそのサイトを利用するか」というスタイルは一通りではない。にも関わらず、今でもWindows+IE環境では(というかほとんどの環境では)「よく行くサイト」を管理する方法は一通りしかない。「お気に入り」「ブックマーク」と呼ばれるアレです。
「お気に入り」「ブックマーク」というのは、ウェブページのURL/タイトルをツリー構造で管理する方法です。ツリーによる階層管理が可能なので「アーカイブとして興味深いサイト」を管理するのに適している。別の言い方をすれば、他のサイトを管理するのには適していない。
- データベースとして有用なサイト
例えばGoogle検索をする時に毎回Googleトップページを開く必要がない。やりたいことは常に「Googleトップページの検索窓に何らかの文字を入力して検索結果ページを見る」ということであり、「トップページを開く」は無駄なアクションである。また、例えば「CDを買いたい」と思った時にAmazon検索結果を見た後で行いたいことは「HMV検索結果を見る(そして値段を比べたりする)」であって「Amazonサイト内で家電カテゴリに移動する」では無い。 - 連載テキストとして面白いサイト
「更新されていたら必ず一度アクセスしたい」「更新されていなければアクセスする必要がない」のに(URLとタイトルが記録されているだけの)「お気に入り」では「更新されていても気付かない」「アクセスしたのに更新されていない」ということが頻繁に起こる - 情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト
トップページに行く必要がない。知りたいことは常に「どのような記事がアップされているか」であり、興味深い記事があればその記事のウェブページを開く必要があるが必ずしもトップページを経由する必要はない。また、例えば朝日でオリンピック記事を見た後に行いたいことは「他のメディアで似たような記事を探す」であって「朝日のおくやみカテゴリーを見る」では無い。
こういった問題点・・・「お気に入り」「ブックマーク」が本質的に「アーカイブを管理する方式」であってそれ以外ではないという問題点・・・を解決するために、人は新たな「ウェブサイト管理方法」を考えてきました。
- データベースとして有用なサイト
「検索バー」というのは、実のところ「データベースとして有用なサイト」を管理するための方法です。タブ型ブラウザを含む、IE以外の主要ブラウザでは大抵導入されており、IEでもGoogleツールバーなどを導入すれば組み込むことが出来ますが、バー上に文字を打ち込み検索エンジンを選択してエンターを押せば「検索結果」が表示される。検索エンジンは自由に追加/削除できるため、自分がよく行くデータベースサイト(いわゆる「検索エンジン」に限らない)を管理することが出来る。またSleipnir等のタブ型ブラウザでは「複数エンジンで同じ文字を検索した結果を複数タブに表示」といった芸当も可能であるため、「アルバム名を入力してエンターを押せばAmazon/HMV/TowerRecord/Tsutayaの値段を一発で比較」といった環境を構築することも出来る。 - 連載テキストとして面白いサイト
「更新チェッカー」「アンテナ」による管理。ただこれは実のところ、完全に実現されたことが過去一度もありません。「更新されていたら」という日本語を根元的な言葉に翻訳すると「ウェブサーバー上でHTMLファイルの最終更新時刻が変化していたら」「HTMLファイルの内容が書き換えられていたら」ということになりますが、ファイルの最終更新時刻を取得できないサーバーでは前者の方法は使えませんし、HTMLファイル内の文章自体と関係のない部分(例えば広告部分/blogにおけるコメント部分)が更新されるサイトでは後者の方法は使えません。はてなアンテナ等一般的な後者の方式を用いる更新チェッカーでは「更新チェックを行う範囲」「無視する行」を定義することでこの問題を解決しようとしていますが・・・そして体感的に90%のサイトではこの方法でチェックが可能ですが・・・100%ではないし、100%になることはあり得ない。 - 情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト
RSSとは、(本来は)このようなサイトの管理方法として生まれた技術です。
さて、ここまで来てようやく「RSSとは」という話になりますが、RSSとはウェブサイトが発行する小さなファイルです。このファイルには、そのサイトで公開されている記事の「見出し」「更新時刻」「概要」などが記述されている。ウェブページ自体と比べると非常に小さなファイルであるためダウンロードしてもクライアント/サーバー共に負荷が小さく、また形式が決まっているため専用ソフトを使ったチェックが非常に容易です。・・・と言葉で説明するより一枚の画像を紹介した方が分かりやすいと思ったのでGlucoseのスクリーンショットをご覧下さい。Yahoo! NewsやCNETといった「網羅性の高い」複数のサイトから見出しを取得しメーラーのような3ペインアプリで管理し、その中で「携帯電話」が含まれる記事のみを抽出しています(Glucoseトップページはこちら)。
例えば朝日でオリンピック記事を見た後に行いたいことは「他のメディアで似たような記事を探す」であって「朝日のおくやみカテゴリーを見る」では無い。
RSSとは、このような「ネットサーフィン」を行うための技術です。
では、RSSは普及しているのか。現時点におけるRSSの実体は下記です。
- インターネット上でニュース等を精力的に求める場合、RSS/RSSチェッカーは非常に有用である。
- ただし、RSSを発行しているサイトの大半はGlucoseのような「本来の」RSSチェッカーを想定していない。
これは、ぶっちゃけて言えばウチもそうなんですがblog系サイトの功罪です。MT等のblogツールは「RSS発行」が非常に簡単です。それが故にRSSを発行する個人サイトが増えて「RSSが今熱い!」といった論調になっていく訳ですが、さて、例えば小鳥さんとか真鍋かをりblogに通ってる人の何割が「見出し」をベースにしてアクセスしているのだろうか。別に日記系blogに限らずとも、僕はX51.ORGさんとこは「更新されていたらアクセス」してます。即ち、RSSを発行しているサイトの大半(blogサイト)は(仮に管理人が否定しようと)「情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト」ではなく「連載テキストとして面白いサイト」である。
・・・ここに、RSSという技術の今日における問題点が集約されているように思えます。
「連載テキストとして面白いサイト」を管理するための技術は既に存在している。WWWCやはてなアンテナを使っている人にとって「一部サイトではRSSを使う(チェッカーを複数にする)」ことは非常に面倒です。何でろじっくぱらだいすさんの更新をアンテナで取得した上で小鳥さんとこはGlucoseで取得しなくてはいけないのか。RSSは「見出し」「更新時刻」を含みますから、RSSチェッカーを更新チェッカー代わりに利用する(例えば上で紹介したスクリーンショットで行われているような「RSS/RSSチェッカーの特性を十分活用したサーフ方法」ではなくて「更新されていたらアクセスする」という目的でRSS/RSSチェッカーを利用する)ことも可能です。しかしRSSチェッカーの大半は「RSSを発行していないサイト」に対応していない。既存の「更新チェック方法」、つまり「ウェブサーバー上でHTMLファイルの最終更新時刻」「HTMLファイルの内容」を取得しての更新チェックを行うことができない。
今日におけるRSSとは、RSSを発行するサイトの中では「極一部」に過ぎない「情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト」を管理するための技術です。即ち、インターネット上で発行されているRSSの大半は多くの人にとって「意味がない」。
RSSリーダー利用者は4.7%
この数字というのは、つまりそういうことでしょう。
「多くの人に」というのは、つまり「例外もある」ということで(blog管理者の話はここでは外します、非サイト管理人の話です)、もし「通ってる『連載テキストとして面白いサイト』は全てRSSを発行している」という人がいたら、「連載テキストとして面白いサイト」の管理にGlucoseとは設計理念の異なる「アップされた記事を全て(或いは大半)開く」ことを前提としたRSSチェッカーを利用するのも良いでしょう。cococというRSSチェッカーをその目的で紹介します。この場合二つのRSSチェッカーを使い分けると良いと思います(cococは「情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト」の管理には向いていないのでそっちにはGlucose等を使う)。
これが、今日におけるRSSの実体だと、僕は考えます。RSSが「情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト」の管理方法としての熟成を目指すのであれば、「RSSは(blog管理人が思うほど)普及していない」と言わざるを得ないし(少なくとも君が発行しているRSSには意味がない)、RSSが「情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト」の管理方法だけでなく「連載テキストとして面白いサイト」の管理方法にまで手を伸ばすのであれば、cococ型のRSSチェッカーは既存のウェブページ更新チェック方法を取り入れるべきでしょう。
別の言い方をすれば、そういった「(既存のチェック方法だけでなくRSSにも対応した)更新チェッカー」に、僕は期待したいと思います。それはおそらくRSSの本来の設計理念とは異なるけど、「全てのサイト(連載テキストとして面白いサイト)がRSSを発行する」ということが現実的に夢物語である以上、それこそが唯一(多くのサイトで発行されている)RSSによって「ネットサーフィン」を今よりも便利にする方法だと思うのです。
だから「RSS」という言葉を知っていてもチェッカーを導入していない人に対して僕が(偉そうに)助言するなら下記です。
「『情報の取捨選択が可能な網羅性の高いサイト』を精力的に利用しているなら導入した方が便利です。ただ、そうでないのならば現在の(例えばblogサイトで発行されている)RSS/RSSチェッカーには意味が無いです。はてなアンテナを利用した方がよっぽど便利ですし(はてなアンテナで更新を取得できない日記系サイト<<RSSで更新を取得できない日記系サイト)。」

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